と題した記事の中で、書店にある本を読んで勉強するときに
「根拠は何か、疑いながら情報を読む」
がとても大切なことだ、と書きました。そのことについて補足しておきます。
投資雑誌の見出しはいつも『今が買い時』
私が投資について学びはじめたのは、1995年頃のことです。
当時勤めていた会社の社長から、株について勉強して俺に教えてくれと言われたことがきっかけです。
まだ若かった私は無責任にも「この株は買いですよ」などとつたない助言をいくつかしたことがあります。社長は、鵜呑みにするわけではなく、さらに自分で情報を見て、ご自分で判断して売買をされていました。
そのあたりも面白い話があるのですが、それはまたの機会に譲ります。今回は、書店の投資雑誌のことです。
その1995年頃から私は、投資について勉強することが趣味となり、書店の雑誌には一通り目を通してきました。約20年です。
その経験から、一つ言えることは
「投資雑誌は『今が買い時』としか言わない」
です。
買い時と売り時と休み時
株は安く買って高く売ることで利益が出ます(信用売りなどを用いて先に高く売って安く買い戻すことも出来ます)。つまり「買い時」と「売り時」があることになります。
長期的に見れば、1988年頃は売り時でしょうし、短期的に見れば2003年頃は買い時、2007年頃は売り時だったのでしょう。
でもこれは後からグラフを見て言えることなので、刻々と株価が変化しているそのさなかで、今が買い時か売り時かを判断することは容易ではないと思います。
さらに、私の経験では「買い時」「売り時」の他に「休み時」もあると感じています。
相場の動きが読みにくいときに、焦らずに買い時(または売り時)を待つ方がよい、という時期です。
相場を読むことは難しいが、そもそも読んでいるのか
その3つの「買い時」「売り時」「休み時」について書店の雑誌はどう判断しているでしょうか。
サラリーマンが投資をはじめようかな、と思って書店に並ぶ雑誌の見出しを見たとき、そこには何と書いてあるか。それは
「日本株は今が買い時」「これから上がる株」
などという見出しです。
しかし、これまでに見てきたたくさんの雑誌の見出しで
「今は休み時」「今は売買せずに時を待て」
などと書かれているのを見たことはありません。
正しい判断をしていない、と言いたいのではではありません。金融のプロがたくさん集まってその雑誌を作り上げているのでしょうから、正しい判断を期待したいところですが、人間ですから間違いもあるでしょう。
しかし、正しいか間違いかにかかわらず、
「株の売買をしよう!」ということしか、投資雑誌には書かれていない
のです。
スポンサーの意向は無視できない
それはそうですよね。投資雑誌のスポンサーは証券会社などが多いです。それらの会社は売買手数料で利益を上げるのです。
客が利益を得るかどうかよりも、株などをたくさん売買してくれるかどうかの方が大切なことなのです。
スポンサーの意向を無視できないでしょうから、表紙に大きく「今は投資に手を出すな」などと書くはずがありません。
たとえ本音はそう思っていたとしても。
どうせわからないのだから少しずつ始める
投資なんていつでも始めることが出来ます。
初心者は少し勉強すると「今株を買わないと乗り遅れるかもしれない」と焦ったりします。
書店に並ぶ投資雑誌の見出しが、その焦りをさらに煽ります。
でも安心を。
その雑誌は相場を判断して「買い時」だと判断しているのではありません。あなたに売買して欲しくて「買い時」と言っているだけなのです。
焦らず大切な知識を身に付けた後、リスクを抑えて少しずつ投資の世界に足を踏み入れていきましょう。