前回と前々回の記事で、証券マンがあなたに電話をかけてきて、株の売買を勧める場面を小話として紹介しました。ありそうな話でしたね。では本題です。
なぜ証券マンはあなたに電話をかけたのか
なぜ証券マンはあなたに電話をかけたのでしょうか。
善良なあなたに損をさせないため?
そう考えることができる人はかなりのお人好しだと思います。いい意味ではなく。
証券マンは仕事で電話してきたはずです。そして担当している顧客はあなただけではないはずです。しかもあなたよりもたくさんの資金を預けている大金持ちも多数抱えているでしょう。
そんなあなたに、X社の株を「売る」ことを勧めてきたのはなぜでしょうか。
それは、X社の株を売ってくれる人を探す必要があったからでしょう。
株価はどうやって決まるのか
株の価格が変動するのは、自然現象ではありません。
買う人と売る人がマッチしたときに初めて株価が決定します。初心者の中には、このことをよくわかっていない人がたくさんいます。
株価ボードの株価を見て、今が買い(売り)だ!と注文を出しても、売り手(買い手)がいないと売買は成立しないのです。
売る人は「もうこれからは下がるだろう」と予測している人で、買う人は「これからまだまだ上がるだろう」と予想している人です。
もし、市場にX社の株を買いたい人ばかりしかいなければ、売買は成立せず、株価はつきません(気配値は上がっていきます)。
証券マンの給料はどこから支払われるのか
証券会社は株が売買されるときの手数料で潤っています。証券マンはたくさんの売買を成立させることがノルマとして求められます。
だとすると、あなたに売りを勧めたのは、売買を成立させたいからだ、と考えるのが合理的でしょう。
わざわざ電話をかけなければならない状況とは
そして、あなたがX社の株を売りに出しさえすればすぐに売買が成立しそう、つまりX社の株の買い手はたくさんいる、ということになります。
あなた以外の多数の人は、これからX社の株は上がるだろうと予測している、ということなのです。
もちろん、本当に上がるかどうかはわかりません。今が売り時である可能性もあります。
しかし、とにかく電話があった時点では、買い手ばかりが多く、売り手が極端に少ない状況であることには間違いがありません。
さて、この状況であなたは、証券マンの勧めに従ってX社の株を売りますか?
私の知人は証券マンのすすめに従って売り買いしました
ちなみにこのとき私の知人は、証券マンの勧めに従って、X社の株を売りました。収支は20万ほどのプラス(100万で買い、120万で売った)でしたが、その後すぐに株価は160万になりました。
儲け損なった・・・と知人は悔やんでいました。
知人は、証券マンがY社の株を買いませんか?と勧めてきたときも、勧めに従って買いました。先ほどの合理的な考察でわかると思いますが、その時の状況は、売り手ばかりが多くて、買い手が極端に少なかったのだろうと推測できます。
つまり、多数の人が、これからY社の株価は下がるだろう、と考えていることになります。
このままでは売買が成立しないので、証券マンはお人好しの知人に、買い手になってもらおうとしたのです。
知人は勧めに従って買いましたが、すぐに株価は下がりました。当時しばらく塩漬けにしていたようですが、その後売ったかどうかは聞いていません(註1)。
知人が損失を出しながらも、証券マンの勧めに何度も従ったのはなぜか
知人が損失を出しながらも、証券マンの勧めに何度も従ったのはなぜでしょうか。
私の記憶では、失敗するときは決まって知人が「忙しくて銘柄を検討している時間がない」ときでした。
そして証券マンが電話により「早く売りまたは買いの決断をしなければならないかのように思いこむ」ように誘導された、という側面があると思っています。
そう考えると、知人には同情します。
株式投資にあたって致命的な勘違いとは
ただ、しかしそれでもある一つの勘違いさえしていなかったら。
その勘違いとは「証券マンはプロだから概ね正しい判断をするはず」というものです。
最初から、証券マンの言うことは当てにせず、自分だけの判断で投資をする事に決めていたならば、私の知人も高い授業料を払うことはなかったでしょう。
証券マンはプロかも知れませんが、相場について正しい判断をするわけではないのです。もし正しい判断が出来るのであれば、自分で売買します。
あなたが株式投資のために時間がとれないなら、相場を休むことも必要です。忙しいときに無理して株を買うことはないのです。
あなたが株式投資を始めようと思うならば、投資はすべて自分の判断で行うべきです。
人から聞いたことは鵜呑みにせず、自分の中でしっかりと考え、判断を下すようにしましょう。
前にも書きましたが、
「あなたに儲け話を持ってくる人は怪しい」のです。 証券マンの言葉は聞き流し、あくまで自分の判断で投資を行いましょう。
(おわり)
(註1)実はその10年後、Y社の株価は2倍になりました。知人が10年持ち続けていれば、十分な利益を取り戻したことになります。証券マンがいったことは、嘘ではなかった?でも私の考えにかわりはありません。